ももいろクローバーZ出演 舞台 幕が上がる 

舞台版は、映画版と深く関連している。
映画版を見ていない場合は、
不在の吉岡先生の存在をより強く想像することになるが、
映画版を見ていると、
吉岡先生の重要性を前提に鑑賞することになる。

映画版『幕が上がる』。

演劇の楽しさを改めて感じ、
念願だった地区大会を突破し、
次は県大会。

未来は希望に満ち溢れていた演劇部員に告げられた
残酷な現実。

想像もしなかった出来事。

自分たちが前に進む力の原動力で、
道しるべだった吉岡先生の退職。

その時まで雲一つなかった心の中が、
土砂ぶりになった時。

体育館の外は雨だった。

部員が一人一人といなくなり、
たった一人残った部長の高橋さおりは、
受け止めれない現実と、
これからの不安に闘っていた。

それから数日後。
さおりは、部員たちの前で、
静かに
それでいて確かに思いを語り、
目標を告げる。
『行こう。全国へ』

舞台版 ”幕が上がる”は、
吉岡先生が辞めた翌日から始まる。

心配する部員たちの前に現れたさおりは、
普段通り稽古を進めようとするが、
やはり、今までのようにはいかない。

今までのようにいかないことにイラつくさおりと、
戸惑う部員たち。

そんな葛藤を経て、
部員たちの前であの映画版の
『行こう。全国へ』に
つながる数日間が、この舞台である。

普通の高校生が悩み時にはぶつかり合う
それでいて日常の高校部活である”幕が上がる”と、
冨士ヶ丘演劇部が演じる”銀河鉄道の夜”の
二つの舞台を一度に見れることに、不思議な、
そして得した感覚を覚える。

部長であるさおりは、
自分が何とかしなければという思いと、
それをするためには、部員特に中西さんのことを、
深く知りたいと思い、また自分が良かれと思ったことが、
他人を傷つけることになることを知り悩む。

3年生のガルルは、父親がいない境遇を笑い飛ばすがごとく、
普段から明るく振る舞うが、
中西さんへのさおりの過度の追及には、
人には触れてほしくないこともあることが解るが故に、
声を荒げることになる。

演技部としては主役のユッコは、
吉岡先生がいなくなったことで、このまま演劇部が
衰退してゆくのをくいとめようと、
主役として責任を口に出さず背負っている。

2年生の明美ちゃんは、下級生をまとめ、
尊敬するさおりを支えるべき存在になれればと
頑張る。

そして転校生の中西さんは、
震災を体験したことで感受した思いを、
心にしまい、
その思いをさおりたちにぶつけることで、
心からの演劇部員の一員になっていく。

この舞台は、確かに途中笑いもある。
ソロコンサートみたいに歌もある。

でも、震災を持ってきたことで、
結構重たいテーマを抱えた。

その重たいテーマ。
人の生と死。
それも友人の死。

そのテーマを、劇中劇の
銀河鉄道の夜』に合わせて、
最初から少しづつ観客に示しながら、
最後みんなにそれを考えさせる内容になっていると思う。

銀河鉄道
ユッコ演じるジョバンニの長い独り芝居の後、
満点の星空のはるか遠くに聞こえる、カンパネルラのクルミの音。
その音を聴き、そこに確かにカンパネルラ居る。

ジョバンニは、カンパネルラは死んだと理屈では理解しているが、
心ではその事実を受け止められない。
だからカンパネルラは、そこにいる。
クルミの音が聞こえる限りは、
どこまでも一緒だ。

ジョバンニは、一度は離れ離れになったと思ったカンパネルラと
クルミの音で再会で出来て劇中劇『銀河鉄道の夜』は終わり、
そして、
部活を休んでいた中西さんが、
カンパネルラを演じたあとに、さおりや部員たちの前に戻り、
『幕が上がる』は終わる。

そんな二つの再会が、
一つの舞台の終わりを告げる。

それが、舞台版 幕が上がる。

ロビーに貼ってあったサイン入りポスター。